27年前の初診日の証明が困難だった脳出血による肢体障害で、障害共済年金+障害厚生年金2級が認定されたケース

相談者

  • 性別:男性
  • 年齢層:60代
  • 職業:再雇用で勤務中
  • 家族構成:妻、子ども
  • 傷病名:脳出血による肢体障害
  • 請求方法:事後重症請求
  • 決定した年金の種類と等級:障害共済年金+障害厚生年金2級

相談時の状況

相談者は、脳出血の後遺症による肢体障害について、障害年金を請求できないかとホームページを通じて当事務所へ相談されました。

現在は脳出血の後遺症による左不全麻痺があり、さらに体幹が大きく湾曲しているため、日常生活のさまざまな動作に支障が生じていました。外出時には車椅子を使用し、家族の誘導や介助を受ける必要がある状態でした。

一方、仕事については、60歳を過ぎてからも再雇用で勤務を継続していました。ただし、疾患を発症してからは、それまでと同じ条件で働けていたわけではなく、職場から合理的配慮を受けながら勤務を続けている状況でした。

障害年金の請求を進めるうえで大きな問題となったのが、初診日が約27年前にさかのぼることでした。

現在の主治医への確認などから、脳出血に関する原則的な初診日は平成11年1月頃と考えられました。しかし、長期間が経過していたため、当時受診した医療機関から初診日を証明する受診状況等証明書を取得することができませんでした。

その後の受診歴を調査すると、平成18年9月に再び脳出血を発症して受診していたことは確認できました。しかし、障害年金では原則として最初に医師の診療を受けた「初診日」が重要となるため、平成11年頃の初診をどのように証明するかが請求の大きな課題となりました。

相談から請求までのサポート

初診時の医療機関から証明書を取得できなかったため、相談者が保管している資料を一つずつ確認しました。

その中で、平成11年7月に義肢を製作した際の領収書が残っていることが分かりました。さらに、当時の状況を知る友人・知人について確認したところ、初診時期の状況を証明できる可能性のある方が2名見つかったため、第三者証明の作成を依頼しました。

しかし、20歳以降の初診日について第三者証明のみで証明しようとする場合には、医療機関を受診していたことを裏付ける資料なども重要になります。今回は、平成11年当時の医療記録を取得することができなかったため、第三者証明だけではなく、別の角度から初診日を立証する必要がありました。

そこで着目したのが、相談者の長期間にわたる共済年金の加入歴です。

相談者は22歳で入職して以降、長年にわたり同じ職場で勤務し、共済年金に加入していました。そのため、初診日があると考えられる期間について、公的年金制度への加入状況を確認することができました。

さらに、入職当時から相談者が同じ職場で勤務していた事実を知る職員にも協力を依頼し、長期間にわたる勤務実態や共済年金への加入につながる事実について証明してもらいました。

請求にあたっては、

「初診時の医療機関から証明書を取得できない」という事情だけを説明するのではなく、平成11年当時の義肢製作に関する資料、初診時期の状況を知る2名の第三者証明、入職当時からの勤務状況を知る職員による証明など、残されている資料を可能な限り収集しました。

そして、厚生労働省の「年管管発0201第7号」を踏まえ、長期間にわたる公的年金制度への加入状況と今回収集した資料との関係を整理しました。

そのうえで、なぜ平成11年1月頃を初診日として申し立てるのか、また、初診時の医証が取得できない中でどのような資料によって当時の状況を裏付けているのかを整理した意見書を作成し、第三者証明などの資料とともに共済組合へ提出しました。

また、障害の程度については、単に「現在も働いている」という事実だけで判断されないよう注意しました。

相談者は再雇用で勤務していましたが、脳出血の後遺症があり、職場から合理的配慮を受けながら勤務していました。日常生活でも体幹の著しい湾曲や左不全麻痺などによる動作の制限があり、外出時には車椅子を使用して家族の支援を受けていました。

こうした実際の身体状態、日常生活での支障、就労上受けている配慮が審査側へ適切に伝わるよう、診断書や申立書などの内容を確認しながら事後重症による障害年金請求を進めました。

結果

請求の結果、事後重症による障害共済年金+障害厚生年金2級が認定されました。

今回の事例では、約27年前の初診時の医療記録が残っておらず、通常の受診状況等証明書によって初診日を証明することができませんでした。

しかし、初診日の証明ができないからといって、直ちに障害年金の請求ができなくなるとは限りません。

当時の領収書、第三者証明、勤務や年金加入に関する資料など、現在残されている資料を一つずつ確認し、初診日があると考えられる期間と公的年金制度への加入状況を整理したうえで、請求者が申し立てる初診日の根拠を具体的に説明することが重要です。

また、この相談者のように現在も働いている場合でも、職場でどのような合理的配慮を受けているのか、身体の障害によって日常生活にどの程度の支障があるのかなどを総合的に確認する必要があります。

「初診が何十年も前でカルテが残っていない」「初診日の証明書を取得できない」「現在も働いているので障害年金は難しいのではないか」といった事情がある場合でも、残されている資料やこれまでの経過を整理することで請求を検討できる場合があります。

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