統合失調症で障害基礎年金2級を受給|初診の証明が取れず第三者証明を活用して事後重症請求した50代女性のケース
相談者
- 性別:女性
- 年齢層:50代
- 職業:無職
- 家族構成:独身・両親と同居
- 傷病名:統合失調症
- 請求方法:事後重症請求
- 決定した年金の種類と等級:障害基礎年金2級
- 年間受給額:約84万7,000円(令和8年度の障害基礎年金2級は年額847,300円。年金額は年度ごとに改定されます)年金機構
相談時の状況

相談者は50代の女性で、統合失調症の症状により仕事に就くことができず、両親と同居して生活していました。家事はすべて母親に頼っており、外出する際にも一人で出かけることが難しく、父親の運転による送迎が必要な状態でした。特にパニック発作のため外出そのものが大きな負担となっており、日常生活全般に家族の支援が欠かせない状況でした。
症状の始まりは平成7年にさかのぼります。短期大学在学中、約1か月間のカナダ留学をした際、慣れない海外生活やホームステイ先でのコミュニケーションなどに強いストレスを感じるようになりました。その頃から、授業中やスクールバスでの移動中に過呼吸発作、めまい、吐き気などの症状が現れるようになりました。帰国後の平成7年4月に内科を受診し、自律神経失調症と診断され、安定剤の処方を受けています。 病歴・就労状況等申立書 – コピー
その後も症状は長期間にわたって続きました。就職して仕事をしていた時期もありましたが、気分の落ち込みや強いストレス、過呼吸、焦燥感、予期不安などに悩まされるようになりました。平成15年頃には症状がさらに強くなり、職業訓練校に通っていても吐き気や焦燥感、過呼吸のため授業内容が頭に入らない状態となり、その後の就労でも症状のため仕事に集中することが難しくなっていました。職場や家庭での強いストレスも重なり、休職や退職を余儀なくされた時期もありました。 病歴就労申立書(続紙)B – コピー
さらに症状が悪化し、入院による治療が必要となったこともありました。長年にわたり精神症状を抱え、現在は無職で、家事や外出についても両親の援助を受けなければ生活することが難しい状態となっていました。
こうした状況の中、障害年金を請求したいと考え、ホームページを通じて当事務所へご相談いただきました。
相談から請求までのサポート
今回の障害年金申請で大きな課題となったのが、約30年前となる初診日の証明でした。
障害年金では、原則として初めて医療機関を受診した「初診日」を明らかにすることが重要です。そこで、帰国後に受診した当時の医療機関から「受診状況等証明書」を取得することを試みました。
しかし、受診したのは平成7年とかなり以前であり、すでにカルテの保存期間を過ぎていたため、医療機関から受診状況等証明書を取得することができませんでした。
初診日を証明する医療記録が残っていないことから、ご本人も「これでは障害年金を請求できないのではないか」と困られていました。
そこで詳しく当時の状況を確認したところ、カナダ留学時から相談者の状態を知っている友人がいることが分かりました。当事務所から、初診時の医療記録が残っていない場合に用いることがある第三者による証明について説明したところ、その友人に証明への協力を快諾していただくことができました。
さらに、ご本人が保管していたカナダ留学当時の写真も確認できたため、当時の状況を補足する資料として添付し、初診当時の経緯ができる限り具体的に伝わるよう請求書類を整えていきました。
病歴・就労状況等申立書については、ご本人に長い病歴を一つずつ思い出していただき、まず下書きを作成していただきました。平成7年の発症から、その後の受診歴、就労中に生じた症状、休職・退職に至った経過などを時系列で整理し、長期間にわたる症状の変化が審査側にも伝わるよう内容をまとめました。申立書からも、過呼吸や吐き気、焦燥感、予期不安などによって通学や就労に大きな支障が生じていた経過が確認できます。 病歴・就労状況等申立書 – コピー 病歴就労申立書(続紙)B – コピー
また、精神の障害による障害年金では、病名だけではなく、日常生活を一人でどの程度行えるのか、家族などからどのような援助を受けているのかといった実際の生活状況を診断書に適切に反映してもらうことが重要です。
そこで、家事をすべて母親に任せていること、パニック発作のため一人での外出が難しいこと、外出には父親の運転による援助を受けていることなど、普段の診察だけでは医師に伝わりにくい生活上の困難について整理しました。その内容をご本人から医師へ具体的に伝えていただいたうえで、診断書の作成を依頼しました。
入院治療が必要となったほど症状が強かった経過も含め、現在の日常生活能力や家族から受けている援助の実態を踏まえた診断書を準備し、病歴・就労状況等申立書や初診日に関する資料と合わせて、障害基礎年金の事後重症請求を行いました。
結果
請求の結果、統合失調症で障害基礎年金2級と認定され、事後重症による障害基礎年金の受給が決定しました。
令和8年度の障害基礎年金2級の年金額は年額847,300円です。年金額は物価や賃金の変動に応じて毎年度改定されるため、実際の支給額は受給する年度によって異なります。年金機構
この事例では、初診から長期間が経過しており、当時のカルテが残っていなかったことが大きな課題でした。それでも、当時の状況を知る友人による第三者証明や留学時の写真など、残されている資料を一つずつ確認して初診当時の状況を整理しました。
また、長期間にわたる病歴だけでなく、「家事は母親に依存している」「パニック発作のため一人で外出することが難しい」「外出には父親による送迎が必要」といった現在の日常生活上の支障を具体的に整理し、診断書と病歴・就労状況等申立書に反映させたうえで請求したことも、この事例における重要なポイントとなりました。
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